〜以前はうまく行ったのに...「役割の変化」〜
「ストレスに強くなろう!」の対人関係療法編の第3回です。
今回は「役割の変化」、周りとの役割の期待の変化のお話です。
以前はうまく行っていたことが、うまく行かなくなったことってありませんか?
私も会社員時代に、エンジニア(技術者)からマネージャーになったとき、仕事を真面目にやっても評価されず、どうして自分を評価してくれないんだろうと途方に暮れたことがあります。
これがもっと真面目な人だったら、さらに一生懸命に仕事をして、どんどんストレスを溜め込んでしまい、うつ病になってしまったかもしれません。
これはいわゆる「昇進うつ」と言われるものです。
私はあまり真面目ではなくて助かりました。(笑)
私の場合には、エンジニアという古い役割から、マネージャーという新しい役割への、「役割の変化」に適応できなかったのです。
エンジニアだと担当する仕事をこなしていれば良いわけです。
ところがマネージャーだと、目標を定めたり、目標を仕事にブレイクダウンしたり、仕事の担当を振り分けたり、スケジュールを作って仕事の進捗を管理したり、メンバーの世話を焼いたり、とても面倒くさいのです。(笑)
新しい環境に適応するには一時的に負荷がかかるので、どうしても古い役割を過大評価してしまい、古い役割は良かったと考えてしまいがちです。
ここから抜け出すには、古い役割と新しい役割のメリットとデメリットを客観的に評価して、特に古い役割のデメリットと新しい役割のメリットに注目することです。
そして、古い役割の喪失にちゃんと向き合い、新しい役割に向かっていくことが大切です。
また、役割の変化に伴い、前回お話した「役割をめぐる不和」が起きている可能性もあります。
つまり自分が以前のままのつもりでも、周りは新しい役割を期待しています。
上司は担当者ではなくマネージャーとしての役割を期待し、下は同じメンバーではなく上司としての役割を期待します。
自分が以前のままだと、役割の期待がズレて、役割をめぐる不和が起きてしまいます。
こういうときに大切なのはコミュニケーションをきちんと取ることです。
上司がマネージャーとして何を期待しているか、部下が上司として何を期待しているか、コミュニケーションを取って、お互いの期待を具体的に共有することが大切です。
次回は『言った!言わなかった!「コミュニケーション分析」』、コミュニケーションしたと思っても、相手が理解していなかったことってありませんか?
そういうときは、自分がコミュニケーションしたと思い込んでいるだけで、実際にはコミュニケーションできていないことが多いのです。